♡輪唱SAKURA♡ 導かれし刻15 忍者ブログ
ここは『遙かなる時空の中で』の二次妄想小説置き場です 大人の表現や18禁文章もございますので未成年の方の入室はお断りいたします
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『流転刻』
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金魚
『輪唱 SAKURA』
 程よい艶と妄想を!           エロくたって    いいじゃない!    人間だもの
HN:
紅緋
HP:
性別:
非公開
職業:
実質自宅警備員
趣味:
妄想
自己紹介:
《せつない桜》の別館として。
発起日 2010年    12月20日
明日もがんばろう
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    『喫茶』前夜祭


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   店内には一つの大きな食台と数脚の椅子
   大人数でも対応できるように相席にした
   木曾から取り寄せたという檜の匂いが
   心地よく店内に充満した

   此の時代で生きてゆくと決めた門出に
   最高の舞台を用意してくれた堪増を
   最初のお客様と決めた
 
   「立派な鯛を貰ったから鍋にしてみたの」
   「へぇ 旨そうな匂いだな」
   「『真鯛のつみれ汁』というのよ」

   椀に盛りつけ手渡すと
   嗅覚を研ぎすますように目を閉じる堪増
   味覚がこの時代の人にも通用する事を祈りながら
   椀の汁を啜り黙々とそれを食す堪増を見つめる 

   食材調達は水軍の男達が手配してくれ、
   足りないものは早朝開かれる朝市に出向く手筈
   当面は水軍の男達数名が交代で助けてくれるそうだ

   (ありがたい…)

   料理を作るのが好きだった事が幸いした
   ちょっとしたものなら作れるはずだが
   魚を捌くのは… 男達に任せるしかない
   本日の真鯛も男達が捌いてくれた

   塩以外の調味料の調達もかなり困難を期したが
   試行錯誤し、何とか近いものを作る
   醤油は味噌の上澄み液で代用した

 
   「…ふぅ こんな旨いもん初めて食べたな…」
   「…本当? よかった!堪増のお墨付きだね」
   「熊野の皆にも食してもらいたいものだ」
   「嬉しい…」

   小躍りしたい気分を抑えつつ
   次の料理を運ぼうと土間に向かう私を
   堪増は引き止めた
 
   「…すまない 長居はできないんだ」
   「え?  …忙しいの?」
   「あぁ 今から京に向かう」

   笑顔を消した私に
   京土産を楽しみにしてなよと微笑む

   「京の情勢を視てくる 変動がありそうなんでね」
    ついでにーーー 
    京に降り立ったという龍神の神子様もみてくるよ

   「龍神? …神子??」
   「絶世の美女だと噂だからね 拝んでくる」
   「…美女は目の前にいますよ?」

   自虐になりそうな台詞を呟けば
   一瞬の間の後、そうだったなと豪快に笑った
  


   「そろそろ出立の刻限だ」
   
   堪増が手を挙げると『鳥』と呼ばれる男が現れ
   そして堪増に耳打ちし、消えた  

   「それからーー オレの通り名はヒノエだ」
    これからは『ヒノエ』と呼んでくれ
  
   「通り名? ヒノエ…?」

   襲撃を未然に防ぐ為だとか身を隠す為とか
   理由は沢山あるのだと笑う
   それだけ堪増の地位は強大なのだと悟った
   
   本来なら庶民である私などとは
   対等に口をきける立場ではない高貴な人物だ 
   身の程を知れば心が軋む

   「わかったわ 堪… じゃなかった…ヒノエ」
    道中のご無事を祈ってます

   「ありがとう 店の繁盛を祈っているよ
 
   
   鳥が用意したであろう馬に
   颯爽と股がると片手を上げ走り出した
   私はその後ろ姿をいつまでも見送った








   ~~~ 独り言 ~~~

   格差に溜め息を吐く
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